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第7回 「スキンシップは、最高のコミュニケーション」
たいていの親は、スキンシップの大切さを知っています。
しかし子どもが成長するにつれて
スキンシップの機会は極端に減っていきます。
帝政ロシア時代のある町で
物乞いをしてきたみすぼらしい身なりのこじきに対して
一人の老紳士が、こじきの手をぎゅっとにぎり
持ち合わせがないことを伝えた。
すると、そのこじきは紳士の顔を見て
ほほえみながら、紳士の手をにぎりかえした。
「これだって、ありがたい。これだって、ほどこしものですよ。」
ロシアの文豪「ツルゲーネフ」の小説「こじき」の一場面です。
どんなに落ちぶれていても
人間としての誇りを失っていないこじきと、
どんなに貧しくみじめな人間であっても
同じ人間として、相手を敬う老紳士が
町中で手をにぎり合う姿は、感動的です。
当時の時代背景を考えると
身分のちがう二人が町中で手をにぎる
これは、全くありえない光景でした。
現代でも、職業や身なりで人を評価しがちです。
こじきと老紳士、二人の気高く勇気ある行動は、
人間としてあるべき姿を教えてくれます。
相手の目をしっかりと見ながら
心をこめて相手の手をにぎる
手のぬくもりとともに
心のあたたかさを相手の心に直接伝えます。
愛する心、励ましの心、詫びる心、感謝の心など
言葉ではうまく言い表せないことも
手をにぎることで、自分の気持ちを
相手の心に瞬時に伝えることができます。
スキンシップの大切さがわかったら、実践です。
試合や発表会の前は、
「がんばってね。」「がんばってきなさい。」と送り出すよりも、
我が子の手をにぎって目を見ながら
無言で送り出す方が、真の励ましとなります。
言葉は心に緊張を与えますが、
スキンシップは心に安らぎを与えます。
心が安定すれば、力を発揮できます。
ぎゅっと抱きしめる
手をしっかりとにぎる
どちらも照れくさければ、
両手でハイタッチや肩を軽くポンとたたくのもよいでしょう。
スキンシップは、心と心の絆を強くします。
子どもの時に経験した親の手のぬくもりや
抱きしめてくれた時の感触は
一生忘れられません。
スキンシップを多く経験した子どもは、
愛情深く、心豊かな大人に成長します。